イライラしたり落ち込んだり、何ごとにもやる気が出ず無気力になったり。今までの自分では考えにくい心や身体の変化を感じたら、それって“男性”更年期かも? 実は女性だけのものではない、男性にも起こる更年期を知っておけば、不測の事態にも上手に付き合える!
「男性更年期」を知って、向き合う
医師が解説! その症状“男性更年期”かも!? 男性更年期の主な3つの症状
慶應義塾大学医学部大学院で再生医療や創傷治癒の遺伝子治療研究に従事。入職後はAGA診療実績を積み、現在は男性更年期の診療も。
「更年期とはホルモンの低下によって身体と心が変化する時期をいいます。男性の場合、精巣で作られるテストステロンという男性ホルモンが年齢とともに減少傾向になるので、それに伴って心身に大なり小なり影響が出て更年期が訪れます。女性と違うのは、時期が人それぞれという点。というのも女性の場合は閉経の前後5年くらいという目安がありますが、男性は生理がないため時期にかなりの個人差が。現れる症状としては、①性機能の低下、②身体的な変化、③精神的な不調、の3つ。治療は血液検査でホルモン値を測定し、必要であれば月に1度を目安に筋肉注射で男性ホルモンを注入するというのが一般的です。特に40代〜50代は、会社での役職が変わったり、子どもの成長によって家庭内での役割が変化したりと、ライフステージの変革がある世代。そういうイベントが発生した際に、心と身体の不調に気づく方も多いです。ただし、過度に怯える必要はありません。男性ホルモンはたとえるならば、“車のエンジンオイル”。心身のあらゆる機能を潤滑にしてくれますが、減っても生死にかかわるわけではない。あまり深刻にとらえすぎずに、気になる症状が出てきたら、ささいなことでもまずは気軽にクリニックに相談してみてください」
①性機能の低下
男性更年期の症状として最もわかりやすいのが、性欲減退、勃起力の低下をはじめとする性機能の衰え。男性ホルモンの量にはもともと個人差があるので一度の検査で数値を見るより定期検査で減少の推移を観察すると、より正確な診断ができる。
②身体的な変化
季節を問わず急にやってくるほてりやのぼせ、多汗、動悸や息切れ、めまい&吐き気といった症状。そして、疲れやすい、頭痛や肩こり、太りやすいなど。「年のせい?」と見過ごしてしまいそうだが、実は更年期の症状の一種である可能性も。
③精神的な不調
イライラを抑えられなくなったり、気難しくなったり。かと思えば、急激に不安感や寂しさに襲われたり。自分でもコントロールできないほどの感情の起伏も、ホルモンの仕業だったりする。記憶力や集中力の低下、不眠といった症状にも注意。
更年期を予防するには?
①積極的に運動する
男性ホルモンであるテストステロンは運動不足によって低下しやすいもの。ウォーキングや軽いランニング、筋トレなどの運動で筋肉を刺激する習慣を!
②アルコールは控えめに
大量の飲酒もまたテストステロンの減少に。ただし禁酒によってストレスを溜め込んでしまうようなら、逆効果。適量のお酒で息抜きするのも大事。
③男性ホルモンを増やす食事を
良質なタンパク質や亜鉛、ビタミンEを積極的にとりつつ、バランスのよい食事を。いわゆるスタミナ食とされる、ニンニク、赤身の肉などもおすすめ。
男性更年期の治療は何をする?
治療メニュー
テストステロンクリーム1%
¥22,000
エナルモン(注射)125mg
¥3,300
塗り薬から注射までさまざまな方法で男性ホルモンをアップ
Dクリニックのように、男性更年期の悩みに対応する外来を設けているクリニックも増えつつあるが、一般的には泌尿器科への相談が近道。治療の手順は血液検査で男性ホルモン値を測定し、その結果次第で、筋肉注射や塗り薬(主に睾丸に塗る)によって男性ホルモンを促進または補充する。ホルモンの補充療法に特に大きなデメリットはないとされているが、継続的に摂取すると自ら生み出す力が衰える場合もあるので、詳しくは医師に相談を。