UOMO編集部がご意見番として信頼、ファッションページでも活躍するヘアスタイリストの二人に尋ねたのは、街で目立った眉上バング・センターパート・パーマヘアをはじめとするヘアトレンドの変化。プロ目線でヘアスナップを総まとめ!
国内外で雑誌やファッションショーのヘアディレクションを担当しながら、代々木上原で自身のサロン「Epo Hair Studio」を運営。ファッションやカルチャーから哲学まで幅広い知識を生かしながら活躍中。
ナチュラル志向とともに、パーマも進化。『肩の力が抜けた』スタイルが急増中です。
KENSHINさん曰く、この5年ほどで街で見かけるヘアスタイルが様変わりしたそう。
「30~40代の働く男性に『ヘアスタイルの解放』が起きている(笑)。いくつか理由があって、まずはリモートワークで出社が減り、服装の自由度が増し、それにつられて髪型も多様に選択の幅が増えた。ルッキズムへの批判が浸透してきて人の髪型をコントロールしたりジャッジすることは今の時代にそぐわないし、仕事さえきちんとしていれば見た目は自由に楽しめる土壌が出来上がってきた感覚です。その↖うえで、技術面の変化として大きいのがパーマの進化。液剤と美容師のスキルの向上で思いどおりのスタイルをナチュラルにつくることが可能です。こうした背景から、TPOを意識することと個性を出すことを両立している方々が本当に多い。働く世代もヘアで遊べる時代です」
早速、個々のヘアトレンドを分析してもらった。
「眉上バングやセンターパートはその人のキャラクターを感じるスタイル。服装がさらりとシンプルでも、髪型がキャラ立ちしているとムードが出ますね。その中でも、前髪などのデザインで顔の印象を調整する『フェイスフレーム』のうまい方々が目に留まります。SNSでアップされる機会が増えたからか自分の顔をしっかりわかったヘアになっている。例えば(1)の眉上のエッジのつくり方。似合っていますね。顔を理想のシェイプに近づけつつ、束の作り方もいい。ジェルで押さえ込まず、立体的な仕上がりが今っぽい。ちなみに眉上の前髪は額の広い方にもオススメです。(2)(3)のようなセンターパートも広義のフェイスフレーム。分けた髪の長さと、額へのかかり方で印象が変わります。センターパートはどんなファッションにも合わせやすく、額が出ることで清潔感が生まれるし、たまのメンテナンスですむのがいい。人気があるのも納得です。爽やかだからヒゲを生やしている方にも好バランスでオススメ。ストレートよりパーマをかけてふわっとさせる人が増えていて、やわらかい雰囲気が時代のムードとマッチしている。手間のかかるセットはせず、朝起きたら軽いオイルをつけるくらいで自然に仕上げる。今っぽい感性ですね。手入れやスタイリングがラクという点でナチュラルな嗜好の方にも好まれます」
ではパーマのトレンドとは?
「(4)のパーマがまさにいい例。このスタイルにはラテン系やスペイン系からのインスピレーションを感じますが、こういう外国人のクセ毛のようなニュアンスを出すことがひと昔前までは難しかった。ジリジリ・ゴワゴワになったり、強くかかりすぎてしまっていかにも『パーマを当ててます』と主張しがちだった。今は細いロッドを使いながらひねってパーマをかけられるようになり、液剤もナチュラルな仕上がりに進化。オススメするサロンも増えたはずです。そして会社勤めの人に好まれているのが(5)(6)(7)のようなパーマのショート。ビジネスシーンでも清潔感がありつつ、ラフに動かすことで堅い印象になりすぎない。(5)の前髪をおろすと(6)に近いヘアスタイルになるはずで平日と休日の変化も楽しめます」
今の時代の大人のヘアを総括すると?
「ナチュラル志向がキーワード。強く押し出す髪型が減りソフトになった。スタイリング剤もストロングなジェルやワックスではなく、オイルやバームなど柔らかなものに。自然な束感をつくったり、フランス人の洗っていない髪のようなテクスチャーをうまく表現している人もいます(笑)。僕たちはクセ毛の次となる髪型として、ファッション撮影では『ベッドヘア』…言うなれば寝グセヘアを提案することも。街の様子も、とにかく『肩の力が抜けて見える』スタイルが大きなトレンドなんでしょうね」