UOMO編集部がご意見番として信頼、ファッションページでも活躍するヘアスタイリストの二人に尋ねたのは、街で目立った眉上バング・センターパート・パーマヘアをはじめとするヘアトレンドの変化。プロ目線でヘアスナップを総まとめ!
ファッション誌や広告を手がけるヘアメイクアップアーティスト。巻頭連載「男子自身」でも活躍中。御茶ノ水にある自身のヘアサロン「駿河台 矢口」にはアーティストやクリエイターから常連まで、多くの人が集う。
自分らしさが何か、ちゃんと理解してトレンドを取り入れている人たちに注目。
矢口さんは、ファッション・パーソナリティ・ヘアスタイルに一本筋が通っているような髪型に注目。
「スタイルがある人が好きです。ヘアスタイリストの僕がこう言っちゃなんだけど、男性って自分の顔や髪にとらわれている人よりも、何か夢中になっているものがあって、結果、その人のスタイルに馴染んでいる髪型が素敵だと思うんです。自分のサロンにいらっしゃるお客様にも何が好きか、どんなレコードを聴くか、そういうことを話して似合うスタイルを見つけたい。切ってから2〜3週間たったような、つくりこみすぎない髪型も好みです。街中のヘアスナップを見渡しても自然な印象の方々が多いんですね。最近はSNSやインターネットに情報があふれているから’70 年代・’80 年代のようなリバイバルも生まれやすいのか、自分の好きなもののスタイルをうまく選び取っている印象がある。皆さんかっこいいし、僕より髪の毛もあって楽しんでいるんだろうな(笑)」
トレンドの眉上バングやセンターパートの中から、矢口さんの視点で特に気になったヘアスタイルを挙げてもらった。
「まず(1)(2)(3)。どれも、おでこを出すスタイルで、爽やかですよね。おでこを隠すか出すかで陰と陽の印象に分かれてくるのですが、皆さんポジティブな印象。もちろん陰のほうに振ってアンニュイさを出してもいいわけですが。(1)の方は、髪の毛の質感が好きですね。クセかどうかわからないけれど束の出方がとても自然。ファッションからも好きなものが伝わってくるし、短い眉上バングが似合っている。キャラクターがはっきりある印象でした。(2)の方もグレーヘアをそのまま生かしながら、分け目を直線的ではなくざっくりラフにとっているのが好きです。こんな上司がいたらいいなという感じ(笑)。(3)の方はすっきりとした清潔感がありながら、ボブカットのエッジがきいている。髪型だけを見るとやや強いかと思ったのですが服装とのバランスが抜群によかった。ウェアはごくシンプルで、抜け感のあるスタイリング。彼のワードローブとヘア、アイウェアがマッチしているんでしょうね。ちなみに油っぽくなりすぎないオイルの使い方もうまいです」
その他の個性の強いヘアにも目がいく矢口さん。
「(4)のヘアスタイルがすごく好きですね。まさに、サロンに行って2週間くらいたった雰囲気を醸し出せている。ワイルドさと清潔感の絶妙なバランスもいい。クセ毛をそのまま流しているように見えるのも素敵だな、と。これがクセ毛だとしたらリンスはせずに乾かして、少しの油か乳液をつけてごわっとした束感を出しても面白いかも。(5)のヘアは目の上ギリギリまで前髪を下ろしたことで個性を感じるし、抜け感をつくるのが上手。こういうスタイルは少しの塩水を手のひらで回すように揉みこんで、ドライな質感に仕上げてもいいですね。(6)の七三分けは、すぐに目に留まりました。おでこを出す髪型としてはセンターパートが定番。けれどこのヘアは七三分けに加えてレイヤーが入り、軽やかな存在感がある。’90 年代っぽいと思ってご本人の資料を見たら木村拓哉さんが好きなんですね。これが自然体で似合うのはすごい。(7)のようなビシッと上げた前髪とヒゲとのバランスも好きです。ヒッピーやパンクのカルチャー、あるいは今のナチュラルワイン志向みたいなものを想像させる自然派感がある」
矢口さんにとっての大人のヘアの正解とは、トレンドを踏まえながら街に溶けこむか個性を出すか、自分への取り入れ方が「わかっている」スタイルだった。