2024.03.20
最終更新日:2024.03.20

金沢・京都・清澄白河。大人が訪れるべき香水店3選【大人が選ぶべき香水】

香水を長く愛用できるかどうかは「何を買うか」と同じくらい「どこで買うか」が大切なのだ。

金沢・京都・清澄白河。大人が訪れるべき香の画像_1

金沢 | PHAETON FRAGRANCE HOUSE

頼りになるニッチフレグランスのパイオニア

PHAETON FRAGRANCE HOUSE
試香室

ショップ奥には試着室ならぬ「試香室」が。部屋に入ると一人だけでモビールを眺めながら香りと向き合うことができる。対話を重視しつつも、時にはゆっくり放っておいてもらえる粋な空間。

D.S.&DURGAの「バーニングバーバーショップ」

香水を始める原点となった、フェートンにとって重要な香りの一つであるD.S.&DURGAの「バーニングバーバーショップ」。

カリーヌ・ロワトフェルドが手がけるブランド

日本ではかなり珍しい、仏版「ヴォーグ」の編集長だったカリーヌ・ロワトフェルドが手がけるブランドもセレクト。

マホガニーを使用した重厚な什器

マホガニーを使用した重厚な什器は1920年代のニューヨークのもの。モダンとクラシックが融合した店内に気分がアガる。


ディレクター / 坂矢悠詞人さんプロフィール画像
ディレクター / 坂矢悠詞人さん
セレクトショップ、フェートンをはじめ幅広い分野で活躍中。香水の原体験は中学1年生の’90年代、CALVIN KLEINの「シーケーワン」。

季節ごとに的確に提案する。洋服の接客と変わりません

 石川県加賀市から独自の美意識で豊かな日常を提案するフェートンは2010年のオープン当時から、ニッチフレグランスをいち早く洋服と並列に扱い、’19年には金沢駅近くに香水専門店フェートン フレグランス ロングバーが、そして’22年にこのフェートン フレグランス ハウスが誕生した。

坂矢さん 「僕自身、香水を100種類くらい持っていて、毎日違う香りを選んでいます。朝起きて、まずどの香水をつけるか決め、次に服を選びます。服以上に季節感が重要で、一人のお客様にご提案する香りも時期によって変わります。そしてお客様のいつもの服装や生活をヒアリングすれば、基本的にはすぐにオススメを5種類に絞れます。そのときイメージとずれた香りもあえて提案するんです。それが自分の意外な側面の発見につながる。実店舗で香水をご購入いただく醍醐味の一つですね。僕たちは“景色”をつくるのが仕事ですから、香水は何も特別なものではないのです」

 多くの日本初上陸ブランドを先行発売するセンスを頼りに、金沢へ行こう。

PHAETON FRAGRANCE HOUSE 外観

石川県金沢市長町1-4-55 1階
TEL:076-254-0086
営業時間:11時~19時
定休日:水曜(臨時休あり)
Instagramphaeton_fragrance_house


京都 | LE SILLAGE

喧騒から離れて大人の鼻を喜ばせる

LE SILLAGE
常時400種類以上の香水を用意

現在は常時400種類以上の香水を用意し、その多くがここでしか買えないもの。昨年12月には東京・表参道で「第一回 香展」を主催して話題に。

ELECTIMUSS

エクスクルーシブブランドの一つ、ELECTIMUSSは古代ローマや神話が着想源。華やかなボトルが目をひく。

LES SOEURS DE NOE

同じくエクスクルーシブ展開されるブリュッセル発LES SOEURS DE NOE(レ スール ド ノエ)。宝石のようなカッティングが施された見た目と相まって、クリーンでキレのある香り。

香り関連の書籍

香り関連の書籍も多数置かれ、一部は販売もしている。接客では香りの基礎知識を丁寧にレクチャーしてくれる。


オーナー / 米倉新平さんプロフィール画像
オーナー / 米倉新平さん
Miya Shinma Parisを手がける新間美也氏の香りのスクール、アトリエアローム&パルファンパリにて学んだ後、29歳でオープンした。

食事や音楽や映画のように香水を当たり前に楽しんで

 京都駅から少し離れた東山。けっしてアクセスがいいとは言えないエリアに香水専門店ル シヤージュはある。

米倉さん 「人がひっきりなしに行き来する場所では、とても落ち着いて香りなんて選べませんし、ゆっくりお話もできない。通行人が視界に入らず、嗅覚に集中できるようにお店のカウンターも奥に向けて斜めに設置しました。価格帯も安くはないので、一年に一回、京都旅のルートに組み込んでもらって、訪れてもらえたら。名前のとおり、まだまだニッチフレグランスの認知度は低い。だからまず、こんな香りの世界があるということを知ってほしい。そのために単純に香水を売り買いする場ではなく、潜在的に求めているだろう情報を伝えていきたいです。そしてお客様にとってのベストな選択を一緒に探していくのがオープン当初からの理念です。具体的なイメージや知識がない大人ほど、オープンマインドで選べるので大歓迎ですよ」

 そこに香水店にありがちな緊張感や切迫感はいっさいない。取材時も外国人観光客がふらっと訪れて買っていった。

LE SILLAGE 外観

京都府京都市東山区中之町205-2 1階
TEL:075-752-2018
営業時間:11時~19時
不定休
Instagramlesillage_kyoto


清澄白河 | Atelier Macri

香水とメガネ。異色のコンビを提案する静謐な空間

Atelier Macri
原材料見本

レモングラスやフィグ、ウッドなどフレグランスの主要な原材料見本を用意。実際に手に取り好みのノートを探せる楽しい演出。

二俣公一氏が手がけた内装

国内外で活躍する二俣公一氏が手がけた内装は自然光がたっぷり入り、奥行きのある空間にはコの字形カウンターが鎮座。経験豊富なスタッフと会話をしながらゆっくり選べる。

ヴェルサティルパリ

2021年創業、パリ発の香水ブランド「ヴェルサティルパリ」が日本上陸。持ち運びやすい15mLのロールオンタイプで小さなボトルが特徴。

ギャラリー

奥にギャラリーを併設し、シーズンごとの展示やポップアップを開催。何度訪れても新鮮な発見がある。


ディレクター / 富永絢美さんプロフィール画像
ディレクター / 富永絢美さん
服飾デザイナーを経て、空間演出を手がける「マクリ」に所属。香水は、まるで読書のようにその時々に見たい景色へ誘ってくれるそう。

香水とメガネはどちらもスタイリングの仕上げです

 清澄白河の散歩コースといえば美術館、公園、カフェ…そこに加えたいのが2022年12月のオープンから早くも口コミで話題のアトリエ マクリ。

富永さん 「香水とメガネは未完成品という点でリンクします。肌にのせると香りが変化する香水、顔の形によって印象が変わるメガネ、どちらも人が身につけて初めて完成するプロダクト。スタイリングの仕上げとして圧倒的に存在感があるという共通点もあります。顔の中心にくるメガネと、パーソナリティを物語る香水。例えば『存在感のあるメガネには、軽やかな香り』とバランスをとると気持ちがいいもの。トータルスタイリングとして併せて考える面白さがあります。ニッチフレグランスを取り扱ってはいますが、商品というより、新体験を求めて来てくださる方が多いです。似合う香水とメガネは好みのファッションやカルチャー、気分次第なので、お話ししながら自分らしい組み合わせに出会っていただけたらうれしいです」

 のんびり散歩のはずが、思いがけず自分のスタイルを一新してしまいそう。

Atelier Macri 外観

東京都江東区森下4-19-12
TEL:03-6666-9212
営業時間:12時~20時
無休
Instagramatelier_macri



Photos:Rieka Takahashi(Kanazawa)  Teppei Hoshida(Kyoto)  Yuka Ito(Tokyo)
Text:Takako Nagai(Tokyo)

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