脱毛パイセンたちの話を聞いて自らの毛との別れを決意したUOMOブランド統括・山崎。光美容器メーカーNo.1を誇るヤーマンの「レイボーテヴィーナス ビューティプラス」の使用を決めたものの、脱毛の前にまずは毛を剃る必要があると知る。決意を固めた山崎は深夜自宅のバスルームでアンダーヘアにハサミを入れた……
第3回メンバー
(左)K キンマサタカ
(本連載担当のエディター・脱毛済)
(右)Y 山崎貴之
(UOMO ブランド統括・ウェブ編集長・脱毛未経験)
脱毛の前にある剃毛
K ヤーマンの光美容脱毛器「レイボーテヴィーナス ビューティープラス」の購入するんだとか。
Y うん。でも脱毛の前に剃毛の必要があるんだよなって気がついた。実際に剃ってみたんだ。
K 脱毛器の光が毛根細胞のみに効率的に届くようにするためですね。剃毛に挑戦した感想は?
Y いやあ、大いに盛り上がったね。
K 盛り上がる?
Y 脱毛という行為は頭では理解していたつもりだったの。でも、クリニックに通ったり、脱毛器を使えばあっという間に毛がなくなると思っていた。
K 結果は理解していたけど、その過程はよくわかってなかったと。
Y 脱毛の前に剃毛というミッションをクリアしなくちゃいけないのがわかってなかった。UOMOの脱毛別冊で、スタイリストの片貝くんが「脱毛の前に自宅で剃ってきてください」と言われ、脱毛を希望する箇所を剃らずに逆に残してしまったことを思い出した。
K 「残すべきところを剃ってしまった事件」ですね。
Y でもさ、その気持ちがわかる気がしたの。これから毛をなくしてもらうわけだから、そのままにしておいた方がいいのかなって。
K 確かに。
Y 文明の力を借りて「いざ脱毛」と昂っているのに、「結局自分で剃るのかよ」というのがショックというか。
K ある意味、自分で刃を入れて、脱毛への覚悟を問われるわけですね。踏み絵のように。
Y そうだね。だからびっくりした。
山崎の脱毛プロファイリング
下半身は真夜中に別の顔へ
K 剃毛はどこでやったんですか。
Y 自宅の風呂場。2歳の息子を風呂に入れたあとに深夜もう一度風呂に戻り、まずはパナソニックのボディートリマーで下処理した。
K そんな便利なものが自宅に。僕は最初はハサミでカットしました。息子のやつを拝借したけど、知ったら怒るだろうな……。
Y でさ、俺ってせっかちじゃない。充電もそこそに毛を刈り始めたら、途中でトリマーの電池が切れたんだよね。Vはなくなったけど、IOあたりはまだ完全に毛が残ってて。
K 風呂場で途方に暮れる様子が目に浮かびます。
Y 結局、次の日まで充電して、また深夜の風呂場に篭ってトリミングしてから剃ったんだけど、そこで壁にぶつかった。Vはいい、Iもできる。でもOは無理だ。
K 手探りではダメでした?
Y そもそも見えないのが怖くない? 刃のついたものを肛門に手探りで当てるのが恐ろしくて。
K 鏡を見ながらやるのが一般的ですよね。ただ、脱毛はある程度毛がなくなっていることが前提だから、部屋でもできるけど、剃毛は毛が飛び散るから確かに風呂場がいいですね。
Y そうだよね。個人差はあるんだろうけど、Oの処理はかなり難しかった。
K 僕はバリカンでやったな。Oは濃い方なんですか?
Y どうなんだろう、比べたことないからわかんないよ。
K 確かに(笑)。結局どうやったんですか?
Y いろんな体勢をトライしたね。風呂椅子に座って片足をバスタブに乗せて足を広げたりしたけどうまくいかなくて、最終的に鏡にお尻を突き出しながら処理した。
K 菜々緒ポーズですね。
K 実際は鏡を置いて、床に座って剃るのがいいみたいです。
Y なるほど。猫が股をなめる様子に近いのか。最初に教えてよ。立ったまま、手で尻を開き続けるのが大変だったよ。正解がわかんなくて「これでいいのか」って思いながら毛剃りしてた。
K 確かに、脱毛ばかりに光が当たりすぎて、その手前の剃毛に関しては毛点だったかも。いや、盲点か。
Y 剃毛の教育ビデオを作るべきだね。
K 床に鏡を置いて、しゃがみ込むようにするスタイルもあるみたいですけど、一般的なのかな。
Y 自分のケツ毛を直視するのは、やはり勇気がいるよね。
剃毛は一つの到達点
Y とにかく、剃毛は終わりました。大人になってから毛がなくなったのは初めてだから、なんだか既に目的は達成されたような気がしてるんだよね。
K わかります。毛がなくなっただけで、生まれ変わった気がします。剃毛した時点で、大きな山は越えました。
Y 徐々に抜いていくのかなと思っていたのに、一気に覚悟を試されると思わなかった。
K たしかに、サロンだと、「どこを残しますか」と言われるけど、家の場合それが難しいかも。
Y 思春期に毛が生え始めるのが嫌で、親のカミソリで下の毛を剃った時のことを思い出したね。
K 今回の作業は、あの頃と違って達成感がありませんでしたか?
Y そうかもね。毛って勇ましいじゃない。やはり男性的というか、ゴテゴテしていて。でも剃ったあと、自分のあそこがフリーザの最終形態のようなシュッとしたフォルムで現れたときはちょっと感動した。
K 最終形態! シンプルになるのが逆に怖い。
Y だけどさ、人によっては勘違いするんじゃないかという気もした。「先進的な自分」みたいな錯覚を起こす可能性があるなって。まだまだ多くの人はやってないけど俺は知っている、みたいな変なエリート意識ね。
K 田舎から出てきた純朴な青年が、都会で暮らすうちに意識高い系になって、地元を見下すようなツイートを連発する感覚でしょうか。
Y サウナに行くとアンダーヘアがない人がいたけど、彼らは俺のことを「下等な人間」だと思っていた可能性さえあるなと。
K それくらい、快適だったということなんですかね。もしかしたら。
Y ムダ毛も個性だというけど、「そんな個性いらない」と思ってしまう自分が爆誕したよね。ケツの周りの毛は本当に意味がわからない。
K 一回毛がなくなると楽ですよね。一度快適を知ってしまった人間はそれを再び求めることになる。
Y だからこそ、偉そうな目線にならないように気をつけないといけないと思って。
K 「ウニが苦手」という人に、「人生の半分を損している!」って言う人がいるけど、人生の価値を他人に決められたくはないですよね。
Y うん。だから脱毛に関して、偏った思想になるのは怖い。
子どものわかりやすい反応
K 濃い毛にオサラバしたことで、わかりやすいメリットは享受しましたか?
Y トイレはもちろんそうだね。あとは家が綺麗になった。掃除機をかけると相変わらず髪の毛は落ちているけど、あきらかに陰毛らしきものが減った。
K わかります。うちは子供が小さいし、妻も脱毛しているので、落ちているのは誰の毛だ?って思います。おそらくうちの両親なんだよな……。家族の反応はどうですか?
Y 奥さんはノーリアクション。でも息子は素直だった。俺の股間をじっと見てさ、「お父さん、チンコの色変わったね」って。
K 陰から陽へ。それは面白い(笑)。奥さんもなんかコメントくれたらいいのに。
Y 仕事だと思ってるからね。
K 近しい人が髪型をガラッと変えたら、何かしら寸評するのは礼儀じゃないですか。アンダーヘアは違うか。
Y いじりづらいところではあるよね。「いいね!」とはなかなかならない。
K 逆に困ったことは。
Y 今のところは特にないかな。あ、生えかけが気になるね。
K いちどツルツルを知ってしまうとそうなりますよね。新居や新車の汚れが気になるのと一緒。
若者への訴求とラストサムライUOMO読者
Y そういえば、先週地元の同級生と久しぶりに飲む機会があってさ。「最近どう?」っていう流れで、盛り上がるネタを投下しようと思って「剃毛した」と話したんだけど。
K 山崎さんが育った岡山県は男性らしさを大事にするイメージがあるけど、みなさんの反応はどうでしたか?
Y ちょっと引かれるかなと思ったけど、みんな平然としててさ。聞けば、彼らの高校生や大学生の子供はみんな脱毛が当たり前の選択肢らしいの。本人じゃなくても、やってる友達が多いと。だから親も受け入れてる。
K そのぐらいの年代は一番流行に敏感ですからね。
Y 20代でも脱毛が一般的になろうとしてるじゃない。そうなると、UOMOの中心読者である30代以上はいわゆる脱毛に親しみがない最後の世代になるのかもしれないと思って。
K 上も下もヒゲを生やしたラストサムライだ。ロスジェネ世代なんて呼ばれてきましたけど、ここでも断絶があるんですね。
Y 30歳を過ぎ、不惑も経て仕事をバリバリこなすようになるとさ、プライドとかもあるから、そうそう簡単に周囲のブームには流されないよね。
K 確かにその世代は、知識として脱毛を知っているし理解を示すことはしても、「じゃあ自分も」とはなかなかならない。
Y せっかくだったら、息子と一緒に脱毛してもいいと思うんだけどね。
K 脱毛の前に剃毛から挑戦してもいいかも。永久脱毛と違ってまた生えてくるわけですから。
Y これまで馴染みのなかった新しい習慣にどれだけアダプトできるか、あるいは意固地になるか。その二択を突きつけられている。
K ヒゲがそうであるように、やはり男らしさの象徴みたいなところが強いですからね。どう頭を柔らかくできるか。昔はアンダーヘアがない人は珍しかったから、僕が脱毛した5年前は銭湯に行くとギョッとされましたよ。なんで驚かれるかというと、あると思っているものがないから。
Y 昔はマイノリティだったからね。
K でも、今はそんなことないし、UOMO読者のように、美容やファッションへの意識が高いオシャレな人が無毛でも、ビックリされることはないでしょう。
Y うん。毛がないにしても文脈があるからね。
K 脱毛に興味がある人は、身だしなみもすごく気をつけている人だと思うんです。だからどんどんやったほうがいいよと言いたいです。
Y ヒゲがトレードマークの人が剃ると落ち着かないのと同じで、やはり気恥ずかしさだよね。
K でも、それって自分がどう感じるかですよね。他人ってそんな自分のこと気にしてないですから、まずは心の中の壁を取り払えばいいんだ。
Y 心の剃毛だ。
K 下の毛を剃ったくらいじゃ、個性は失われないです。
Y あと、つるつるの手触りも気持ちいいと思ったよ。そして、自分のありのままの姿を見て、体を鍛えようと思った。自分をメンテナンスしている気がしたよね。
K 脱毛をした人で、「しなきゃよかった」と言ってるひとは、自分の周りではいないです。それに尽きるのではないでしょうか。
Y ブームと同時に技術も進歩して価格も下がってきている。いいタイミングかもしれないね。今回は剃毛したので、次回はヤーマンで脱毛します。
次回へ続く。
Photo & text : Masataka Kin