香りは自己表現の大切なツール。だからこそ、人とかぶらないものを見つけたい。世界的にニッチフレグランスが流行り新たな香水との出会いの場が増える今、2024年以降に日本上陸したものだけをレビュー!



1位:RboW|O.A.C

コスメというリチュアルで
日常とアートをひもづける
「持ち運ぶことができる自分だけの小さなアート」をコンセプトに、アートディレクターであるキム・ソヒョンがつくる韓国発のビューティブランド。「RboW」は虹を意味し、誰しもが経験のある虹を見つけた瞬間の喜びや美しい偶然への讃歌を、コスメを通じて感じてほしいという願いが込められている。
自己表現のツールとしての香水は直感的でシンプルであるべきという理念の下、ミニマムに構成されたスモーキーな夜露の芳香。ジャスミンの蠱惑的な香りにすがすがしいベチバーとカルダモンのスパイス感が交わり、多面的に漂う。
総得点:4.70

西 拓郎(会社員)「ウッディというかお香のような落ち着く香り。四角いボトルで、すっきりとポーチの中に収まるのもありがたい」。
金井 良輔(会社員)「スパイシーさとウッディな感じが混ざり合い、後に残るクセもなくて好きでした。コスパのいい価格なのも◎」。
Kim Hyongan(デザイナー)「アロマのような安らぎのある香りで、リラクシーな雰囲気。モードな服に合わせて纏ってみたいと思いました」。
新井 崇士(会社員)「シンプルながら印象的なパッケージに惹かれた。いい意味で香りに強い個性はないので子どもといるときも使えそう」。
中村 創(会社員)「トップに香るオレンジブロッサムがナチュラルでとても心地よい。果実を搾ったときのみずみずしさを感じました」。
小川 敬大(管理栄養士)「新鮮だけどどこか馴染みのあるジャスミンの香り。日中はもちろん気持ちを落ち着けたい就寝前につけるのもいい」。
2位:Fugazzi|Angel Dust

時間も性別も自在にフルイド。
アムステルダム発の次世代香水
オランダに生まれ、ファッションシーンで活躍していたブラムが2018年に創業。家族で訪れたエジプトで、かつてクレオパトラが彼女の芳しい香りだけでシーザーを征服した逸話に感銘を受け、独学で調香について学んだ。タイムレス、ジェンダーレスを掲げ、パワフルで革新的な香りづくりを志す気鋭のブランド。
ほのかに甘くパウダリックなカシュメランを基調に、みずみずしいベルガモットとペッパーカシミヤ、アンバーの温もりが官能的に香る。羽のように軽やかでありながら、中毒性あるセンシュアルな香調にやわらかく絡め取られる心地を楽しみたい。
総得点:4.54

茂野 遊歩(美容師)「ナチュラルで自然なムードの香りが好印象! それでいてどこか人の記憶に残るような不思議なニュアンスもあり、いちばん気に入った」。
潮海 翔(会社員)「メンズで甘い香りはなかなかトライしにくいところもあるけれど、これは嫌みのない軽やかな甘さがある香りで気兼ねなくつけられる」。
森川 亮太(アパレル)「幸せになれる落ち着いたやわらかい香りがコンセプトにマッチしている。エンジェルという品名どおりの優しい雰囲気のボトルもかわいい」。
霜 顕伍(会社員)「控えめな甘い香りがほんのりと香り、とても上品な印象です。しつこさは一切ないため、オン・オフ問わずいつでも使いたくなります」。
3位:WHAT WE DO IS SECRET|MONOSCENT G

NY在住の日本人彫刻家が
生み出す独創的なフレグランス
ブランドオーナーであるニューヨーク在住の日本人彫刻家サクレ ノビが、世界の名だたる調香師とともに唯一無二の香水を創造する。彼が目指すのは“香りを放つ彫刻”という新しいアートの概念。厳選された香料を用いて、芸術家らしい独創的な視点で処方する。遊び心のある個性に満ちた香りがラインナップ。
女性の約25%、男性の約33%が感知することのできない稀少な香料、ガラクソリド・スーパーのみで構成。肌の匂いのようにほのかな甘みを感じるクリーンなムスクのニュアンスが漂う。単体ではもちろん、ほかの香りとレイヤードするのも面白い。
総得点:4.31

佐野 純平(会社員)「どんなスタイルやシーンにも合わせやすく万人受けする香り。携帯しやすいサイズ感とシンプルなデザインのボトルも素敵です」。
村上 宏明(ビューティクリエイター)「誰もが好きな爽快感。思わず「何の香水つけてる?」と質問したくなるようなクリーンで清潔感のある香りですね」。
渡邉 秀嗣(映像制作)「男性の3人に1人は感知できない稀少な香料というのに惹かれた。フレグランスが苦手な方にもオススメできる控えめな香り」。
仲 元樹(会社員)「斬新なコンセプトがいい話のネタになる! ムス クがほのかに香る程度なので、香りが苦手な人や静かな香りを探している人にも最適」。
4位:Beaufort|Absent Presence

イギリスの海風と煙が交わり
幻影の記憶を呼び起こす
蒸留家でありプロミュージシャンの顔ももっているレオ・クラブツリーが2013年ロンドンで設立。ブランド名は風力の世界標準尺度を発見した英国海軍少将の名前に由来する。彼が生み出した香りすべてに通底するのはスモーキーさ。パフュームの語源であるラテン語の「煙を通して」をオマージュしている。
「不在の存在」という哲学的な名をもち、愛と憎しみ、祝福と呪いという相反するものが漂う詩的世界を描く。静謐なヴァイオレットと深いベチバーに刺激的なペッパーとレザーの官能性が交差。賦香率30%の濃密さで、見えざる気配を奏でる。
総得点:4.19

岡澤 アキラ(福岡タレント)「スモーキーな香りの中にスパイスがあり、海を連想させるような爽やかさを感じられる。性別を問わず好かれる香りだと思います」。
長屋 一輝(会社員)「あまり感じたことのない香りで人とかぶらなそうなのがいい。それでいてほんのり爽やかさもあり、大人の男性という感じがする」。
今川 一樹(会社員)「スパイシーな香り立ちと英国のウイスキーを彷彿とさせるスモーキーさが共存。はじめて体験するとても心地のよい香水だった」。
吉田 聖(会社員)「レザーとムスクで表現されたスモーキーさ、そこ に加わるペッパーのアクセントがクセになる。海 を発想源としたブランド背景も好み」。
5位:JORUM STUDIO|PARADISI

化学、植物学、建築、アート。
専門家集団を擁し革新的に製作
調香師ユアン・マッコールとクロエ・マレンのデュオによるスコットランドのブランド。化学をはじめ、植物学や建築、デザイン、美術、文学などさまざまな専門分野のエキスパートで構成されるクリエイティブチームとともに、伝統的な製法とユニークな創造性に基づいた、唯一無二の香水を編み出す。
グレープフルーツの学名に由来しブーストしたシトラスオイルとベルガモットの鋭い爽やかさにウッドと土の匂いが重なる。雨露に濡れたエジンバラ・ロイヤル植物園に足を踏み入れたような青々としたアーシーさが心地よい。
総得点:3.92

土屋 善直(公務員)「ビターな柑橘系の香りが爽やかすぎない絶妙さで、男性的な魅力を感じる香り。夏の日差しも似合いそう」。
佐野 純平(会社員)「少しクセのある香りの展開が人とかぶらなそうで個性を出しやすい。ミドルノートの香りの変化も興味深い」。
城野 慎太郎(会社員)「爽やかで懐かしさがある。今、使っている香水が甘く強めなので気分を変えて次に買い足すならこれ。携帯性も◎」。
6位:TOBBA|FORCE

元画家の調香師が香水という
キャンバスに描く抽象的な物語
香港を拠点とする元画家であり調香師のジャスパー・リーと共同創業者エイドリアン・ユーによるブランド。香水を芸術表現の一つと考え、天然成分と合成成分を対比させ創作。母親が持っていた白檀の扇子やクラシカルな香水瓶など、ジャスパーの脳裏に残る幼い日の嗅覚の記憶も着想源となっている。
宇宙の始まりから続く、原子や物体の衝突から生まれるエネルギーを讃える。静かで力強いヒノキの芳香にミントやリコリスのアーシーな苦みやレザーのスモーキーさが寄り添う。大地の香りを思わせる、洗練された骨太さが鮮烈。
総得点:3.91

今川 一樹(会社員)「セクシーすぎない甘さとウッディな渋さが混ざった心地よい香り。時間とともにどう変化していくのか楽しみ」。
石川 宏樹(会社員)「甘すぎないウッドで品がいい。ありそうでない香りで、主張しすぎないのにすれ違ったときは印象に残りそう」。
島津 貴優(会社員)「どこかで嗅いだような懐かしさのある香り。それでいてアーティスティックで、いい意味で違和感があるのがいい」。
7位:Perroy Parfum|GOLDFAWN

レイヤリングを推奨し
嗅覚の自由を解放する香水
トップ、ボディ、ベースにそれぞれ単一の香料を用いて調香する、フランス発・新感覚のニッチフレグランス。プレイフルなルックスと手頃な価格でコレクションしやすいように設定され、自由にレイヤリングする楽しさを提案。香りとは、自身の存在感を際立たせるツールだとあらためて実感できる。
トップに香るセンシュアルなサンダルウッドに、ボディに用いられた甘やかなバニラとベースに流れる奥深い森のようなシダーが交差する。ミニマムなレシピながら調香の妙で複雑な温かみをもたらし、パワフルに香り立つ。
総得点:3.89

中村 創(会社員)「甘いけど重すぎず、ふんわりと包み込んでくれるような心地よさ。バニラのほのかな甘みが軽やかさを担っている」。
林 智之(会社員)「わたあめのように甘いバニラの香り。ベースの香水として使用し、ほかの香りと重ねるという使い方も面白い」。
福嶋 一敏(会社員)「甘い香りではあるものの甘ったるすぎることはなく、大人の雰囲気を纏えそう。夜につけたい香水だと感じました」。
8位:NARDIS|BACK IN BLACK

ジャズやロックに影響された
韓国発のアートフレグランス
「Nardis」とはジャズの名曲タイトル。これはピアニストのビル・エヴァンスがつぶやいた“I’m an artist”が彼のなまりにより“I’m a Nardis”と勘違いされたことに由来する意味のない単語。音楽と嗅覚を、ともに記憶の中の情景を呼び起こす感覚ととらえ、実在の楽曲名を名づけた香りを作る。
ランとトリュフという意外性のある芳醇な香りで幕を開け、ローズやジャスミンの華やかな調べに推移。エキゾチックなフローラルノートにパチョリやムスクのマニッシュなウッディが混ざり合い、独創的なファセットを奏でる。
総得点:3.88

芦澤 宏治(会社員)「フローラルとウッドのバランスが絶妙で、女性的すぎず男性的すぎず今っぽい。濃厚だけど重くなく印象に残る」。
村上 宏明(ビューティクリエイター)「音楽からインスピレーションを受けたというのも納得。インパクトのある躍動的な香りで力強さを感じられる」。
貝瀬 慎太郎(会社員)「とにかくコスパがいい。モダンなデザインで携帯しやすいボトルもグッド。香りも甘すぎず、ちょうどいい」。
9位:Jeroboam|ORIGINO

ムスクの探求から生み出される
パリ発ニッチフレグランス
伝説的なニッチフレグランスショップ「Jovoy」の創業者兼調香師であるフランソワ・エナンが設立。ムスクを探求し、友人の調香師に頼み製作した香水が絶賛されたことからブランドがスタート。すべての製品は、その一本と同じDNAをもったムスクをベースに高濃度のパルファムとして作られている。
素肌の匂いと混ざり合い魅惑的に香るムスクの真骨頂。ベルガモットやジュニパーのすがすがしいウッドに、ペッパーやナツメグのスパイス感が見え隠れする。ブランドの起源となったムスキー香に交わるソルティな気配が官能的。
総得点:3.87

松丘 隆士(会社員)「『小さなムスクのカクテル』というコンセプトとデザインが素敵。炭酸を彷彿とさせるトップは今までにない香り」。
堀内 武蔵(会社員)「エナンがムスクを追求していなければ味わえなかったであろう香り。上品な甘さを自信とともに纏える一品」。
坪井 祐樹(会社員)「強さとやわらかさがあり、大人な男性の威厳が表現されている香り。「週末、バーで一杯」というイメージを抱いた」。
10位:FUMparFUM|clown

マルチアーティストが作る
アジア初上陸の稀少香水
リトアニアの国際空港や国立現代美術館でも展開されるナショナルブランド。創設者兼調香師は俳優、映画監督でもあるアイスティス・ミツカビツィオス。“ピュアパルファム”と名づけられた賦香率30〜35%の高濃度香水を国内のみで生産するため流通量が少なく、アジア圏では日本が初上陸となる。
リトアニアの懐疑主義を風刺したコレクション。「クラウン」の名をもつ一本はサーカスの扇情的なムードを想起させるベルベットのカーテンをイメージし、柑橘のトップから濃密なエレミやアンバーの重奏的な香りへ変容する。
総得点:3.85

芦澤 宏治(会社員)「レザーなのにふわっと軽くて新鮮。高級感があるけど嫌みじゃなく、爽やかで普段使いできそう。春夏にピッタリ」。
奈幡 伸一(horos ショップマネージャー)「ほのかに漂うのに新鮮で、とても印象的な香り。誰といるときにつけたいかを想像することができた香水でした」。
佐藤 慧太(美容師)「香りの変化があり、つけている間いつでも新鮮な感覚にしてくれる。重厚感がありつつやわらかさがあるのもいい」。
11位:27 87|MOSAIQUE

心の状態をテーマに据え
気鋭の調香師とコラボする
ドイツ出身のロミー・コワレフスキーによって設立された、バルセロナのニッチフレグランスブランド。「今、この瞬間」をテーマに、NOW、WILD、GO、CALMと心の状態を反映した4つのラインで香りを展開する。マーク・バクストンなど革新的な調香師とコラボレーションし、ユニークな製作を行う。
エキゾチックで活気にあふれた香りが特徴的なGOのラインに属する。古代と現代が交錯する冒険から着想し、蜂蜜やプラムの甘やかさにセンシュアルなイランイランと深遠なオークモスが交差。スモーキーなトライバル感が際立つ。
総得点:3.80

仲 元樹(会社員)「潔くすがすがしいパッケージ。なかなか体験したことのない香りで、気分を変えてみたいときにつけるのがよさそう」。
日巻 功一朗(弁護士)「甘みを強く感じた。人と会うときにはもちろん、家で一人この香りに浸ってみたいと思わせる中毒性がある」。
鈴鹿 岳宣(WEBディレクター)「謎めいたボトルのデザインとコンセプトの難解さが、解けなかった物理の宿題のようで心惹かれました」。
12位:POINTTWOFIVE・SECOND|DRAW ANNUAL RING

0.25とは香りを認知する時間。
嗅覚から内なる自身と向き合う
ブランド名の「025S」とは、香りを認知する反応時間に由来する。0.25秒の刹那、過去の情景を思い浮かべたり、想像の翼を羽ばたかせたり。香りを通じて得られる、内なる自分自身と向き合うきっかけを提供する。タイムコードを用いたコンセプチュアルなストーリーも、デザイン大国・韓国らしい。
ノスタルジックな感情を引き出す、エキゾチックなウッド。ラズベリーやオレンジが入り混じったキャラメルの濃密さに、カルダモンなど多彩なスパイスが奥行きを添える。琥珀のようにまったりと成熟したムスキーさが漂う。
総得点:3.78

小松 圭介(美容師)「甘くもなく香水っぽくもなく、なんだか気になり惹かれる香り。0.25秒で振り返らせるコンセプトを体現してる」。
新井 崇士(会社員)「ボトルの見た目と自分時間というコンセプトがかっこいい。落ち着く匂いがタイムコードとぴったりでした」。
KUBOKI(ヘアメイク)「クリーンで洗練された香調の奥に、さらに多面性があるような…。ミステリアスなムードを感じさせる香り」。