自分を一新するには、ヘアに加えてファッションとの関係性が大切。ファッションディレクターの祐真さんが、自身の経験をもとに綴る。
最近、4年ぶりに髪を短くした。さほど短くなったわけでもないのに、周りからは「エラく短くしましたね」とか言われている。そう言われると、妙にうれしくなって気分も前向きになってきた。「人の目なんて気にしてファッションが楽しめるか!」なんて思っているくせに、人の意見にわりかし左右される僕。まあ、人の意見から学ぶことは多い。
僕の場合、着る服が変わるとヘアスタイルも変わる。若い頃はその周期が今より早くて、一年で何度もヘアを変えていた時代もあった。あるときは金髪、あるときはツンツン、そしてあるときは肩までのロングへア。その時々で着たい服に合わせてヘアを変えていた。
人生で一回だけ金髪にしたのは1994年のこと。当時気に入っていたロメオ・ジリなどのクラシックなテーラードをパンキッシュに着こなしたくて、代官山の「boy」に通っていた。あるとき、オーナーの茂木さんは、僕の意向も聞かずに「スケザネくん、今日、色入れるから」と言った。初めての脱色体験。「それならウォーホルみたいなプラチナブロンドに」とリクエストした。それから8時間が経過。結局プラチナとはならず、薄い金髪で終了。それ以上は頭皮に負担がかかりすぎるとのことだった。翌朝、鏡を見て驚いた。ひと晩寝ると自分が金髪になったことなど忘れていて、おったまげるやら気分が爆上がりするやら…。ディオール オムに心酔していた2003年頃には表参道の「DaB」で八木岡さんにカットしてもらっていたし、2005年頃には原宿にあった「SOLARIS」に通っていた。ここ何年かは、撮影でもよくお世話になっているヒロ津久井さんにもっぱらお願いしている。
人間の「スタイル」というものは、身につける服や小物だけでは完成しない。体型や姿勢、歩き方などももちろん大事だが、とりわけ「ヘア」というのはその人を印象づける大事な要素だ。洋服とヘアは、この先もずっと二人三脚の関係なのだと思う。
文/祐真朋樹
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